短編小説,中編小説

夢祈願


 

  §1
 

 市岡政雄は山陰に向かうため、ファーストクラスに乗っていた。

 当然のことながら、座席はいつも使う ...

短編小説,メモ

短編集「自首の理由」


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短編小説

コーヒーカップ


 

 息が出来ない。門村は布団の上で動けなくなっていた。
 意識はあるのだが、体を動かそうとしても動かせないのだ。
(殺られるとこう ...

短編小説

ホタル


 

  1

 達也は夏期講習をさぼって部屋でゲームをしていた。
「あー、暑っ」
 コントローラーを放り出した卓也は、キッ ...

短編小説,中編小説

白馬


 

  §1

 

 朝の陽がぽかぽかと射し込み、夜中に冷え切っていた室内が快適な温度になった。
 ベッドの ...

短編小説,中編小説

コンタクト


 このお伽噺はあなたのタイムラインの実話かもしれない

 

 

       1

 

短編小説

オオカミ女

 

 ある晩、車で帰宅途中、僕が小さな川にかかる【もどり橋】にさしかかった時のことだ。
 欄干によじ登る女性の影が月光に浮かんだ。

 身っ、身投げだっ!

 僕は急ブレーキをかけ車か ...

短編小説

鏡台

  §1

 柴崎祐美は天野酉彦教授の部屋の少し開いているドアをノックした。
 数回ノックしても返事がないので、祐美はドアをそっと開けて中を覗いた。
「あのう、誰もいませんか?」
 すると教授の少し間 ...

短編小説

弓

 起

 弓道部の練習を終えた笹木良樹は辻野広也と校舎を出た。
 弓袋に入れた弓を背負いつつ二人は歩道を並んで歩いてゆく。
 明日は県下の高校の弓道大会なのである。
 良樹が広也に言う。
「今 ...

短編小説

警視庁

 

 1

 

 夜の八時を過ぎた警察署の正面玄関は営業時間外の店舗のようにひっそりと静まりかえっている。しかし鷹木がドアを開け、さらに内扉の中に踏み入ると、節電のためか全開ではな ...