長編小説

信長天魔王 上巻

 

 

竹王丸の那古野城

 七月に入って、信秀は馬廻りの弥太郎と宗兵衛を従えて那古野城を訪れた。
「頼まう、織田弾正忠信秀じゃ。左馬助さまのすけ殿のお招きにあって参上いたした」

長編小説

信長天魔王 上巻

 

信長誕生

 土田御前が信秀に身ごもったことを打ち明けたのは天文二年の蹴鞠会が清州城に移動して終わった八月頃であった。
「殿、授かりました」
 土田御前が羞じらいながら薄黄色の帯を手で押えると、信 ...